堕天使来る




門に大きく並森≠ニ書かれた文字。
ごく普通の中学校。


そこの入り口に立ち塞がるように立っている二人の影。


「ここが並森中だぞ」


二人のうちの片方の背丈の小さな赤ん坊、リボーン。
年齢とは不釣り合いな黒いスーツと大きめの帽子に、その上には本物の生きたカメレオンが乗っていて、なんとも異様な雰囲気を醸しだしている。


「へえ。思ったより綺麗な学校だね」


その隣にいるもう片方は、並森中の制服(男用)を着ている中性的な顔立ちの少女


「あいつがいるクラスは1-Aだからな」


念を押すようにリボーンが言うが、言われた本人はへらへらしながらわかってるよ、と空返事。
どうやら目の前の並森中に釘付けみたいだ。リボーンはため息をつく。


「十代目の護衛で学校行けるなんて嬉しいなあ…案内ありがとね。リボーン」


満面の笑みで嬉しそうにそう言えば、リボーンの頬がほんのり赤くなる。照れくさくなって被っていた帽子で顏を隠してしまった。


「十代目護衛任務、僕に任せてくれた九代目に感謝だね」

「強いやつじゃないと頼めないからな」


その言葉に、の顏から笑顔が消えた。


「…そりゃどうも」


の碧眼の瞳が一瞬ゆらいだ。リボーンも気づかないくらいの、一瞬。


「ツナのこと頼んだぞ。


リボーンが顏を上げた。
改まった感じになって、は体を並森中からリボーンに向き直す。

その瞳に迷いは無い。


「了解」


敬礼のポーズをとってにっこりと微笑むと、ひゅんと残像を残してリボーンの前から姿を消した。










その頃沢田綱吉もといツナのいる1-Aでは早速転校生の話題になっていた。


「急な話しだが今日は転校生が来る」


コホンと咳払いをして言う担任の言葉にざわめく生徒は、以外にも少なかった。

何故ならクラスの誰かが既にその情報をなんらかの方法で入手しておりとっくにクラスの半分以上は把握していたからだ。
当然ざわめくものだと思っていた担任は意外にも落ち着いている生徒達に少々驚いたが、気にせず話しを続けようと口を開いたそのとき



ガラリ



不意に教室の窓が開かれた。


「失礼しまーっす!」


元気な挨拶で当たり前の様に三階の窓から教室に入ってきたに、全員の驚きの視線が集中した。


「なっ!だ、誰だ君は…そんな所から!!」


驚きで少し裏返った声で自分を指差す担任にはぷっと吹き出した。


「あはは。今日転校してきたです。聞きませんでした?」


おどけた様に自分を指差してケラケラ笑う。

唖然と口を開ける担任は、ずれたメガネを掛け直した。


「お、おかしいな…確か来るのは女子だと聞いたはずだが…」


そう言われたは笑っていた顏を歪ませ、心外だといわんばかりに頬を膨らませた。


「失礼なっ。僕女の子」


その言葉に驚いたのは担任だけでなくクラス全員。

先ほども言った通り中性的な顔立ちの見た目は女にも男にも見える。
髪型も短めで区別しずらい為、一番見分けやすい方法と言えば服。
スカートを履いていれば間違いなく女の子だったが制服は何故か男用。
そりゃ間違えてしまうのもしょうがない。

担任のメガネがずり落ちた。


「なら制服はスカートを!「今日転校してきたって言います。よろしくでーっす」


担任の注意を遮りにこりと笑って頭を軽く下げてクラスに挨拶をする。
その笑顔に男も女も顏をほわんと赤くした。

中には黄色い声もしばしば。


完全に無視された担任は、ぽかんとずり落ちたメガネでを凝視。










「えーっと…っあ、僕あの人の隣座るね。センセ?」


ニコリと笑ってが指差したのはツナの隣の席。
笑顔の裏に隠された静かな脅迫に、担任はカクカクと首を縦にふって許可の合図をだす。


それを見た男子と女子はツナに羨望と妬みの視線を送る。

指名された本人は何故自分なのかと言う疑問に疑問符を浮かべつつ痛い視線に苦笑いする。



がツナの隣まで歩いて来ると、にこりと笑ってみせた。


「よろしくね。十代目」


耳元でぼそりと呟いて悪戯顏でにやっと笑えばツナの顏はみるみる内に真っ青になった。

予想通りの反応には悪戯が成功した子供の様にニッと笑った。


「まさか、キミ…」


心なしかツナの声が震える。

またマフィア絡みの人物だと核心したツナは、未だ送られるクラスの痛い視線を食らいながら真っ青になって頭を抱えた。



今度はなんなんだ、と…