護衛
「ちゃんはどこから来たの?」
授業も終わって今は昼休み。
現在はクラスの女子から激しい質問攻めにあっている。
「えとね、アメリカだよ」
よくネタが尽きないものだ、と疲れを通り越して感心。
いや感心している場合じゃない。リボーンに昼休み絶対屋上に来るように言われている。
…遅れたらなにをされるかわからないのだ。
そんなの心知らず、女子達は質問攻めを続ける。
「キャーすごい!それじゃあちゃんはアメリカ人?」
「うーん。父がアメリカ人のクォーターで母が日本人だから僕も日本人かな?ただ目の色が遺伝しちゃったけどね」
そう答えると周りの子達はまたきゃあきゃあ騒ぎ出す。
タイミング的に今が抜け出すチャンスだと感じとったは椅子から立ち上がる。
「ちょっと僕先生に呼ばれてるから職員室行ってくるね」
また何か言われる前にそそくさと逃げる様に教室を出る。
教室に出たは、はぁ。と疲れきったため息をつく。
「…えーっと。たしか屋上だっけ」
周りに人がいるのも気にせず、窓を開けて窓枠に手を掛け足を掛けると。
そのままひょいと上に乗り屋上のある上に向かってひょいとジャンプした。
その頃屋上では既にリボーンとツナ。
それと友達の獄寺と山本がそろって昼食を食べている。
そしてなぜかリボーンは栗トゲの着ぐるみを着てツナをちくちく攻撃していた。
「イテテ…あ、そういえばリボーン」
「なんだ?」
「今日転校生来たんだ。って子なんだけどまさかリボーンの知り合い…?」
「ああ。マフィアだぞ」
リボーンの言葉にツナはやっぱり、とうなだれ頭を抱えた。
「ツナのファミリーに入ってもらうからな」
リボーンの言葉に素早く反応したのは獄寺だった。
「入れるってリボーンさんアイツは…!」
獄寺は言葉に詰まって顏を歪ませた。
「は強ぇぞ」
「それは知っています!だってアイツ…「アイツもマフィアごっこ入れるのか?」
「ちげーよ天然野郎!!」
天然発言な山本にキレ気味の獄寺をツナがまあまあと抑える。
「こらこら勝手に決めないでよリボーン」
「うわぁぁ!!」
いつの間にかが背後に立っていて、大袈裟なくらい飛び上がって驚くツナに含み笑いする。
「来たか」
「遅くなってごめんねリボーン。って何その格好……可愛い〜」
「可愛いの!?」
周りにハートを撒き散らしながらリボーンを抱き上げるにツナが鋭いツッコミを入れる。
「おい。本題だ」
急かす様に言うと、ハッと思い出した顏をしてはツナに向き直った。
「そうだったね…はじめまして十代目。今回九代目からの依頼で来ましたと申します。今日から十代目の護衛に就かせてもら…「ちょっ、ちょっと待ってよ!」
突然改まった感じになって。しかもあまりにも急な話にツナは慌てて言葉を制止した。
「そっそんな突然俺の護衛とか言われても…」
困ったように言うと、はああ、と納得した顏になる。
「そっか、ごめん。僕てっきりリボーンから全部聞いてるかと思ってたから…」
それを聞いてツナは軽く睨む様にリボーンを見た。が、リボーンは悪びれることもなく、ツナに向かってぐっと親指を立てた。
「サプライズ」
「いらないよそんなサプライズ!!」
ツナの怒鳴り声に近いツッコミには苦笑した。
「それじゃあ簡単に説明するね。僕はボンゴレファミリー専属の殺し屋さん。今回九代目からの依頼で十代目の…つまりキミの護衛を頼まれたからここに来たってわけ。まあ護衛以外に暗殺とか頼んでくれてもいいよ」
「たっ、頼まないよ!…ってキミ殺し屋!?」
「そーだよ?」
ずざっ、とツナが一歩あとずさった。
「み、見えない…」
「あっはは!よく言われるー」
なんでだろねー、とケラケラ笑うを後ろの方で睨む様に見ていた獄寺が口を開いた。
「…それじゃあ、お前があの鮮血の堕天使≠ネのか?」
身構えるように獄寺が言う。
獄寺の言葉にツナと山本は疑問符を浮かべた。
「ああ、うん。周りからはそう呼ばれてるよ」
依然笑顔のまま首を縦に振る。
「せ…鮮血のなんとかって?なんだか響きからしておっかない感じだけど…」
「の殺し屋での通り名だぞ」
サァーっとツナの顏が青ざめた。
「裏の方じゃかなり有名ッスよ」
残酷と美貌を持つ少女
鳥の様に舞飛び美麗に戦うその姿はまさに紅い翼の天使の如く
鮮血の堕天使と―――――
「もうちょっとセンスある通り名つけてもらいたかったけどねー」
ダサイよね、とへらへら笑うにツナはまた一歩あとずさった。
「へぇ。もマフィアごっこ入ってるのか」
印象の良い爽やかな笑顔で山本が言う。
(ま、マフィアごっこ…?;)
チラリとリボーンを見た。
「山本もファミリーの一員だぞ」
ニヤリと妖しく笑うリボーンにはなんとなく理解して渇いた声で笑った。
「あはは…そうなんだ。よろしくね山本君」
「おお」
手を差し出すと、ニッと彼独特の爽やかな笑顔と大きめの手が帰ってきた。
「それと、スモーキンボム君も」
にっこりと山本と同じ様に手を差し出すが獄寺はなかなか手を出そうとせず、差し出された手をじっと睨む。
それを見て苦笑いしたは差し出した手で獄寺の腕をがしっと掴んだ。
「はいはい警戒しなーい。一応僕は君達の味方なんだよ?」
無理矢理手を握ると獄寺は驚いて顏を赤くさせた。
「んなッ!」
逃げようとする獄寺の手を痛いほどしっかり掴んで離さない。
観念したように手の力を抜いた獄寺には嬉しそうに笑ってぶんぶんと腕を振った。
「へへ。よろしくね」